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不動産投資での法人化のメリットとタイミング|節税効果と注意点を徹底解説

 不動産投資を行う際、節税効果を高めるために「法人化」を検討する投資家が増えています。しかしながら、法人化には設立や運営に伴う費用がかかるため、全ての投資家にとって必ずしも有利な選択とは限りません。

 本記事では、不動産投資における法人化のメリットとデメリットを詳しく解説し、法人化を検討するべきタイミングや注意点についても掘り下げていきます。これから不動産投資を拡大したい方や、課税所得が増加しそうな方はぜひ参考にしてください。また、専門家のアドバイスを受けながら、自分に最適な投資戦略を見つけるヒントをお届けします。

不動産投資における法人化とは

 不動産投資における「法人化」とは、法人を設立し、不動産の所有・管理を個人名義から法人名義へと切り替えて運用する方法です。これは営利を目的とした法人ではなく、主に資産管理を目的とするプライベートカンパニー(資産管理会社)として設立され、所得税の節税対策として広く利用されています。

 法人化により、不動産投資家は設立した法人から「役員報酬」として家賃収入などの運用利益を受け取ることができ、個人所得を分散させることで税負担を軽減する効果が期待できます。

法人化のメリット

 不動産投資を進める中で、多くの投資家が一度は「法人化」についての情報を目にするでしょう。法人化することで、個人投資家には適用されない有利な税制やルールが利用でき、結果として税金の負担を軽減する効果があります。法人化の具体的なメリットは以下3点です。

経費計上の範囲が拡大
損失の繰越期間が延長
不動産投資の成績を明確に把握

経費計上の範囲が拡大

 法人化の大きなメリットの一つが、経費として計上できる項目が広がることです。個人投資家の場合、不動産投資に直接関連する支出のみが経費として認められますが、法人では法人の運営に必要な経費全般が対象となります。具体的には、役員報酬や保険料、共済掛金、土地取得に伴うローン利息なども経費に含めることが可能です。これにより、法人化することで大幅な節税が期待できます。

損失の繰越期間が延長

 不動産投資で赤字が出た場合、その損失を翌年に繰り越すことができます。個人投資家の場合、青色申告をしていれば繰越期間は3年間ですが、法人化するとこの期間が最大10年間まで延長されます。これにより、赤字が出た年があっても将来の黒字と相殺することで課税所得を抑えることができ、長期的な節税効果が得られます。

不動産投資の成績を明確に把握

 個人として不動産を所有している場合、確定申告書には不動産以外の収入も含まれてしまい、投資の成果が見えにくくなります。しかしながら、法人化すれば決算書は不動産投資に関連する収支のみが記録されるため、投資の成果を明確に把握できます。さらに、複式簿記を活用することで、物件ごとの収支分析も可能になり、より詳細な投資戦略の立案に役立てることができます。

法人化のデメリット

 法人化は多くのメリットがある一方で、全ての投資家にとって効果的とは限りません。法人化を検討する際には、そのデメリットもしっかり把握しておくことが重要です。以下では、法人化に伴う主なデメリットは以下5点です。

・法人設立時にかかる費用
・不動産の所有者変更に伴う費用
・法人の維持にかかるコスト
・赤字でも法人住民税が発生する
・長期譲渡税率の適用がない

法人設立時にかかる費用

 法人を設立するためには初期費用が必要です。まず、株式会社や合同会社を設立する際には、登録免許税がかかり、さらに定款と呼ばれる法人の基本ルールを定める書類を作成する必要があります。多くの場合、定款の作成は司法書士などの専門家に依頼するため、その報酬が発生します。

 また、紙で定款を保存する場合には収入印紙代がかかりますが、電子定款を利用すればこの費用は不要となるケースもあります。それでも法人印の作成などの費用は避けられず、設立費用は決して安価ではありません。

不動産の所有者変更に伴う費用

 個人名義から法人名義に不動産を移す際には、所有者変更に関連する費用も発生します。個人側では不動産の売却とみなされ、売却益が発生すれば譲渡所得税や住民税が課されます。また、法人側では不動産の取得に伴う登記費用や、不動産取得税がかかります。これらの費用が一時的に大きな負担となるため、法人化による節税効果がその費用を上回るかどうかの判断が求められます。

法人の維持にかかるコスト

 法人設立後の維持にも継続的な費用がかかります。法人化すると、社会保険への加入が必須となり、毎月の保険料の負担が発生します。また、法人税申告や会計処理が個人よりも複雑になるため、税理士などの専門家に依頼するケースが多く、その費用も計上する必要があります。これらの維持コストは、法人の規模や運営状況によって異なるため、事前にしっかりとした資金計画を立てることが重要です。

赤字でも法人住民税が発生する

 法人化すると、事業の収益状況にかかわらず、法人住民税の「均等割」を支払わなければなりません。均等割は、業績が赤字であっても年間約7万円程度の支払いが必要で、法人税割と異なり利益の有無にかかわらず課税されるため、注意が必要です。これにより、収益が芳しくない時期でも一定の税負担が発生することになります。

長期譲渡所得の税率の適用がない

 個人で不動産を長期間所有した場合、売却益に対して適用される税率が優遇されます。具体的には、5年以上所有した不動産の譲渡益に対しては、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)と低い税率が適用されます。しかし、法人の場合は、所有期間に関係なく、譲渡益に対する課税は、合計所得に対しておおよそ21%〜33%となり、個人に比べて税負担が重くなります。

 法人税は譲渡所得以外の利益とも総合して計算されるため、会社の規模や利益状況によって実際の税率が異なる点にも注意が必要です。

不動産投資で法人化を検討すべきタイミング

 法人化は節税効果が期待できる一方で、設立や維持にかかる費用がデメリットとして挙げられます。そのため、不動産投資で法人化を検討するタイミングは慎重に見極める必要があります。法人化のメリットを最大限に享受するための適切な時期は次の2つのタイミングです。

・不動産所得が黒字になっているとき
・課税所得が900万円を超える見込みのとき

不動産所得が黒字になっているとき

 サラリーマン大家が不動産投資で赤字を抱えている場合、法人化は必ずしも必要ではありません。個人の場合、不動産投資の赤字を給与所得と損益通算することができ、税負担を軽減できますが、法人化すると法人の赤字は個人の所得と通算できなくなります。そのため、不動産投資が黒字化し、個人の損益通算のメリットが得られない段階で法人化を検討するのが一般的です。

課税所得が900万円を超える見込みのとき

 法人化を検討する重要なタイミングとして、課税所得が900万円を超える段階が挙げられます。個人の所得税は、課税所得が900万円を超えると税率が23%から33%に引き上げられますが、法人税率は23.2%程度で一定です。このため、課税所得が増加して税負担が大きくなる前に法人化することで、節税効果を高めることができます。収支のバランスを見ながら、所得がこの基準に近づいてきた時点で法人化を検討することが得策です。

不動産投資で法人化する際の注意点

 不動産投資において、法人化がメリットをもたらすと判断した場合は、早めに手続きを進めることが重要です。適切なタイミングを逃すと、予期しない費用が発生し、結果として損失につながることもあります。以下では、不動産投資で法人化する際の主な注意点を紹介します。

副業を行う場合の注意点

 副業禁止の会社に勤務している場合、法人化には特に注意が必要です。例えば、国家公務員法では、公務員が小規模な不動産投資を行うことは認められていますが、法人を設立して役員を兼務することは法律で禁止されています。

 会社員の場合も、就業規則に基づいて副業の制限がある場合が多いため、必ず事前に会社の規則や関連する法律を確認しておくことが必要です。違反が発覚した場合、法的リスクや処分を受ける可能性があるため、慎重に対応しましょう。

不動産投資のみを行うの場合の注意点

 専業で不動産投資を行う場合、自身が代表者となる法人を設立したとしても、得られる家賃収入を自由に使えるわけではありません。法人化後の収益は法人のものであり、個人としての収入を確保するためには、法人から役員報酬としてお金を受け取る必要があります。

 しかしながら、役員報酬には所得税が課税されるため、高額な報酬を設定すると個人の税負担が増え、法人化のメリットを相殺してしまう可能性があります。バランスを考慮しながら、適切な報酬額を設定することが不可欠です。

 法人化する際には、これらのポイントを理解し、適切な準備をすることで、法人化のメリットを最大限に活かし、無駄なリスクを避けることができます。事前のリサーチと専門家のアドバイスが成功の鍵です。

まとめ

 不動産投資における法人化は、節税効果が期待できる一方で、設立や運営にはコストがかかるため、全ての投資家にとって有利な選択とは限りません。特に、「課税所得が900万円を超える可能性がある方」や「不動産事業をさらに拡大していきたい方」は、法人化を積極的に検討する価値があります。しかし、法人化のメリットとデメリットをしっかりと理解し、現在の投資状況や将来的な目標を総合的に考慮した上で判断することが重要です。

 また、不動産投資の法人化に関しては、専門的な知識が必要となる場面が多いため、信頼できる不動産会社や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、自身の状況に最も適した方法を見つけ、より効果的な節税対策や投資戦略を立てることができるでしょう。

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